footmark

ひよっこエンジニアの足跡

モノづくりと想い

会社の研修のために東京へ出てきて早1週間。
良くも悪くも慣れてきたので、刺激を与えようかと都会のライブハウスに行ってきた。

はっきり言って遊んできたわけだが、そのきっかけは先にも書いた通り、刺激欲しさからだった。
せっかくいただいたオフをどう使うか。
もちろん、やることがないならコードでも書けばいいだろうし、実際全然悪い選択じゃない。むしろ乗り気すらする。
でも東京に来たんだしなあ、と思いながら調べていると、好きなインディーズバンドのライブ日程に思わず目が止まった。

今日じゃん。

これは行きたい。
と思うやいなや、面倒くさく感じてくる。
宿から結構な遠出になるし、大人しくコード書くのが善なところもあるからなあ。

ここまで考えて、なんだか自分腐ってんなと。
動きたがらない指に活を入れて、チケットの予約をする。
少し会社に寄ってから僕はライブハウスのある街へ向かう電車に乗った。

都会から田舎へ。
変わる景色を見ながら、どこか懐かしい感覚に襲われていた。
楽しみで、ちょっとだけ興奮して。
そして、今から僕を襲うであろう刺激に対して恐れをなす自分もいた。
もし凄い演奏を聴くことができて、それで自分は正しく事を感じられるだろうか。

会場に付き、時間と共に始まるライブ。
その日のライブは3マンライブで、僕の目当ては一番最後。
残り2つは全然知らない。

ライブや!
ってなテンションで挑んだわけでもなく、僕はフロアの後ろの方で1バンド目の演奏を聴いていた。

そして僕は今日この場所にいることに感謝した。
なんだろうこれ。
なんだろうこの感覚。
いろんな想いが頭をよぎる。

「やっぱバンドっていいな」
「バンド、やめたくなかったな」
「音楽、やめたくねえな」
「俺、どうして音楽で上京しようとか思わなかったんだろう」
「若気の至りだったとしても、どうして諦めるという選択をとったんだろう」
「今の自分は逃げの結果なのだろうか」
「やっぱバンドっていいな」

誤解のないように書いておくけど、今の自分を選んだことに、「逃げ」を感じることも、「後悔」を感じることもない。
本気で攻めてきた自信すらある。
それでもなお、そんな想いが一瞬であれよぎるのはなぜだろうか。
そんなことを考えながら、僕は一つの答えに辿り着いた。

彼女らは想いを持っている。
人間くさい、想いを持っている。

ああ、これか。
今の僕には想いが足りない。
昔、音楽に対して込めていたような想いが足りない。

なるほど。
彼女らの音楽を聴いて、表現できないくらい嬉しい気持ちになって、同時に音楽とは直接関係のないところでめちゃくちゃ悔しくなって。
そして勝手に思い浮かんできた強い決意。

想いのあるモノを作ろう。
職人みたいな凄くて、それでいて懐かしいモノを作ろう。

もちろん口で言うほど簡単なものじゃない。
もちろん口で言うほど簡単なものじゃないと悟ったように言えるもんでのない。

でもそう思えた自分はきっと幸せもので、その気付きに感謝するように日々努力を重ねるしか、僕に術はないのだろう。

その日のライブは総じて素晴らしかった。
ボコボコにされてしまったが、磨くことでもし光るなら、その光で誰かに「想い」を届けられたら。
ひよっこエンジニアはその日を願う。